どれだけかわいがっても勝手気ままな猫は楽で良し
ある朝、可燃ごみを出しに行ったとき、ごみステーションから「ミユーミユー」と子猫のか弱い鳴き声が聞こえて来ました。
ちょっとそこらのごみ袋をどかしてみると、ちっさな手のひらサイズの子猫がよろよろと歩いて出てきました。
よく見るとその子猫の目は目ヤニでつぶれ、たぶん何も見えてない状態。
それから体毛はところどころが剥げており、どうも病気にかかっている様子。
そのみすぼらしい姿がかわいそうで仕方なく、すぐさま家に連れて帰りました。
どうせすぐ死ぬだろう、それなら死ぬまで面倒見てやろうと思ったのが、その子を飼うきっかけでした。
それから、毎朝お湯で湿らしたガーゼで目ヤニをとってやり、どうせ死ぬまでと思っていたので、特に動物病院に連れて行くようなことはせず、食事もミルクだけ、段ボールで寝場所を作ってやり、なんとかトイレの場所もしつけました。
私が会社へ行っている間はかわいそうですが、かごの中でいてもらい、帰ってきたら解放してやり、部屋の中を自由に歩かせました。
シャンプーを結構こまめにしてやったので、蚤などの心配はなく、時々一緒に私の布団で寝た時もあります。
そんな毎日を送りながら一週間経ち、二週間、一か月と経ちましたが、その猫一向に死ぬ気配無く、逆にだんだん元気になってきたのです。
すっかり目ヤニもつかなくなり、きれいな透き通るようなめをぱっちりと開けるようになり、抜けていた体毛も生えそろい左右対称の白と薄茶できれいな模様になりました。
こりゃ死なないなと思ったのが、飼い始めて2か月目のことでした。
同時にまだこの猫に名前も付けてやってないことにも気づきました。
そこで、名前をいろいろ考えたのですが、結局決めかねて、その時の気分で呼び名を変えました。
シロ、ニャーロー、ブライト君、猫太郎、等など。
その後も元気に家の中を走り回り、ごくごく普通の猫として生きていたその猫は4か月目ぐらいで突然いなくなりました。
何があったのかわかりませんが、とうとう私のもとへ帰ってくることはありませんでした。
本で読んだんですが、猫はどんだけ愛情を注いでやってもなつかないし、最後にはどこかに消えるそうです。
どうせ、死ぬまでと思っていたので、特に悲しくもなく、逆に、勝手に出て行ってくれるなら死ぬまで面倒見なくていいから楽でいいなと思った私でした。
もちろん、またフラっともどって来ても私は大歓迎です。